「香・・・」
「や、やだ勘弁して!今日こそはぐっすり寝たいの!」
「なんだよ、つれねーな」

ムスッと不機嫌そうにそう言いながら、ちゃっかりあたしの肩を抱いて自室に連れ込もうとする男からなんとか逃げ出し久し振りに自分のベッドに入った夜。

「でも、ちょっとやりすぎちゃったかしらね・・・」

上でまだハンマーとこんぺいとうに潰されているであろう男を思い浮かべる。

仕事が一段落ついた先週末から
ここしばらく続いた男性からの依頼を珍しく全て受けてくれた僚に、優しくしようと大抵のコトは受け入れてきたのだけれど。

いつも以上にねちっこく攻め立てられて、あたしに厭らしいことを言ったり言わせたりで、それはもうしつこいのなんのって

しかもそれを何時何処でも何の前触れもなく始めるものだから、もうヘトヘトなわけ。


「ま、今日一日ぐらい休んでもいいわよね」

だんだんと重くなる瞼に素直に従って目を閉じる。
今にも意識を手放そうかという時に、耳元でギイッとベッドが鳴いた。


その気配の主は、確認するまでもなく分かるけれど。一応重たく張り付いた瞼をなんとか押し上げると、月明かりにぼんやりと照らされた男と目が合った。

「やっほ。リョウちゃん夜這いにきましたよ」


寝ぼけ眼で焦点が定まらぬうちに、手早く両手を一纏めに拘束されて文句を言おうとした口も塞がれる。

「・・・っ、ん、やだ、」

こうなってしまった状況を考えると、念には念をと最近追加しておいた数多くのトラップも、この男の前では通用しなかったようだ。


「もういい加減諦めろ」

ちゅく、と下唇を吸われて、右手が胸元の敏感な所を掠める。


「・・・っもう、替えのシーツが無いんだから」
「洗えばいいだろ」
「簡単に言うけど、干すのも大変なのよ」
「んじゃあ手伝う。それで問題無いわけだ」


片眉を上げて、だろ?と得意げな顔をする男に一言小言を言ってから、両手の力を抜いた。

ここはもう、諦めよう。その方がこの後の身のためだと。













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おとなしい様子に味を占めて調子に乗る冴羽氏といいように弄ばれる可愛そうな香ちゃん。
きっといつもはしないプレイもドサクサ紛れにさせたに違いない!(コラ)
今日もおつとめご苦労さまですto香






























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